ゴジマエ~後日読み返してもらいたいささやかなまえがき~

1971年生まれ。京都府出身・在住。コピーライター・プランナー。約15年間、大阪の広告制作会社勤務ののち2012年7月からフリーランスに。キャッチコピー一発から広告全体のプランニング・進行管理、企業の販促企画(企画書作成)まで、会社案内や学校案内・フリーペーパーなどの取材からライティングまで、幅広くやってます。 お仕事の依頼などはfuwa1q71@gmail.comまで。 

夏のこと

ずいぶんと放ったらかしにしてたこのブログ、そのまま眠らせておこうかとも思ったのですが、なんとなく更新してみます。夏の間のことをちょろっとまとめておこうみたいなわりに軽めのエントリーです。といっても気がつくと7,000字超えてるんですが、書き手としてはこういういま流行ってる感じのサラっとしたフォーマットってのは案外ラクなんです。文章だけでグワッと書くほうが文字量少なくてもよっぽどエネルギー必要でっす。とかムダ口叩いてないで進めます。


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7月末は母親の古希祝いでうちの家族四人と母親と兄貴と弟夫婦というわりと大所帯で白浜に旅行に行ってきました。古希祝いの記念になればと「メッセージ花火」なるものを頼んで打ち上げてもらったり、朝の浜辺を散歩したりつかの間の休暇という感じでした。海に行くのは本当に久しぶりだったので、まあ半分は子供のお守りになるのですが、それでもすごく楽しかったです。海というのはなんかやっぱり人を振り返らせるというか、頭を一回リセットするのにいいみたいですね。


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それから下鴨神社で足つけの神事にも行きました。いずれも仕事がブワッーと忙しい時期だったのですが、とりあえずバタバタ準備して、サクッと時間あけて、だーっと言って帰ってくるみたいな、いま振り返っても夏の夕立の後というか狐の嫁入りの直後みたいな、幻見てたみたいな気分ですが。あ、そういえば下鴨神社で偶然にENJOY KYOTOの題字も書いていただいている書家の川尾朋子さんにお会いしたのもなんだか幻みたいに感じるなあ。


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あと夏休み前に長男が学校から持って帰ってきた朝顔のタネを蒔いたら見事にポロポロ咲いたのが8月の初め。それからひと月を経て、花もそろそろ終わりかなーと思った9月の初めに、この育てた花から落ちた種がさらに新しい芽を出していて驚きました。ベランダでも立派に自生するもんだなあと感心するのでした。


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この夏はENJOY KYOTOのIssue18がスポーツ特集号だったことと、リオ・オリンピック/パラリンピックが重なって、よくスポーツを見ました。取材を兼ねて京都サンガFCの試合や京都フローラの試合も観戦したし、テレビでも少しいつもとは違う観点でオリンピックを見ていました。


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これはENJOY KYOTOの取材でKBS京都の「京スポ」という番組に携わっているアナウンサーの海平和さんとプロデューサーの南哲也さんに「スポーツとローカルメディアの関係性」についてお話を伺った時のことなんですけど、その中で「やはり地元選手をいち早く注目して取り上げることに、ひとつの意義があると思っています」とおっしゃっていました。たしかに陸上の桐生祥秀選手やスケートの本田姉妹はじめ、いまや全国ネットのマスコミに注目され世界で戦う選手の多くがいち早く「京スポ」で取り上げられてきました。なかには「京スポで子ども時代にたまたま見た選手が大人になって全国で活躍する姿を見てどこか自分たちの子どもが頑張っているような気持ちになる」というような声もあると聞きました。
そういう意味で今回はパラリンピックの一ノ瀬メイ選手に注目して応援していました。パラリンピックはさすがに放送枠も少なく、ほとんどその姿をテレビで生で見る機会はなかったのですが、ちょうど仕事が落ち着く22:00以降に競技があったことからYahoo!の速報で毎競技チェックしていました。一ノ瀬選手のは京都市出身でちょうどこの夏前に僕は初めて彼女のことをまさに「京スポ」で知り、その後パラリンピック開幕直前に全国ネットの「スッキリ!」で取り上げられているのを見ました。つまりですね、自分が取材で海平さんに伺ったお話と同じ経験することになったわけです。彼女はちょうど今夜、最後の種目に挑戦します。記事では思うように実力を発揮しきれていないようなインタビューがあったので、最後はぜひ思い切り実力を出し切って、どうかパラリンピックを楽しんでほしいです。


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さて、プライベートではお盆休みがほぼ1日半しかなかったので、奥さんの実家へ行って子どもたちと遊んだくらいでした。僕は京都生まれ京都育ちなので「帰省」というものをしたことがなく、結婚して初めて「田舎」ができました。田舎に帰るというのは特に子どもができると楽しいものです。カエルやザリガニを捕まえたり、トンボやバッタを追いかけたり、車や自転車を気にすることなく思い切り走り、山の土や川の水に触れる。虫の声を聴きながら眠る。こうした体験は子どもにとってはとても大事なことだなあとあらためて思います。京都市内だと公園でさえボールも自転車も禁止されてて、なかなかに遠慮がちになりますからね。


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それから長男の描いた絵が入選して、京都市立芸術大学ギャラリーに張り出されていたので見に行ってきました。同じ小学校からは全学年で見ても2、3人しか選ばれていないし、市内全域の小学校から応募があってそ作品点数と規模からみてかなり厳選された入選なのだろうと思います。彼は小さい頃から放っておくといつまででも一人で絵を描いている子だったので、なんというか好きなことで褒められるという小さな成功体験をしておくことはこれまた大事だなと思いました。


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あと今年は地域の役員に当たっていたので地蔵盆がわりの夏祭りの企画運営を手伝いました。マンションの自治会というのはなかなか難しいところがあって、子供のいらっしゃらない世帯はけっこうそういうことに否定的で「子供がいる家庭だけでやればいい」と愛想なしの世帯がけっこうあるんです。それならと、今年は和菓子作り体験や抹茶体験コーナーなどを企画し、大人の方だけでも参加できるよう告知もしました。結果的に年配者を中心とした大人のみの参加者は微増という感じで決して大成功とは言えませんが、参加世帯は大幅に増えたし、大人だけでも参加できるという印象は少なくとも伝わったように感じました。こうした自分の住む地域の身近な自治体運営に関わることから地域づくりって始まるんだと感じました。地域活性などと掛け声だけ大きくてもビジネスでやっていることと現実の地域の課題はまだまだ乖離があるし、そこを埋める努力ってやはり最後はそこに住んでる人間なんだと、あらためて身をもって学びました。




それから先日、伏見桃山球場で行われた京都フローラの試合に行ってきました。これは記事にも書いたのですが、じつは女子のプロ野球リーグというのは世界でいま日本にしかありません。しかもプロ野球リーグ機構は京都に本部があるのです。これも記事に書いたのですが映画で「プリティ・リーグ(原題:A League of Their Own)」というのがありました。あの映画は第二次大戦中にメジャーリーガーが徴兵されていなくなってしまったので、プロ野球を盛り上げるために創設された女子野球リーグの奮闘を描いた物語で実話です。ただし、そのアメリカの女子プロ野球リーグはわずか8年で終了。ですから女子プロ野球リーグというのは日本でしか見られないのです。


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京都フローラの試合のある日はJR桃山駅からシャトルバスが出ているので便利です。歩くと坂道を15分ほどかかるのでで行くなら絶対バスです。ガイドのお姉さんも美人さんでした。


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シャトルバスを降りて球場の方へと歩いていくと桃山城が見えてくる。ここにはむかしキャッスルランドという遊園地があって宇治の中高生のデートスポットでもあったのだ。懐かしい。あと大昔にはこの天守閣から若かりし日の真田広之さんが飛び降りるといういかにも昭和チックで奇想天外なショーなんかもやっていた。さすがにいまはそこそこにご高齢なうえ、ハリウッドでもご活躍なので、まずやってはくれないだろうけども。


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などと、本当にどうでもいいことを思い出しながらボヤボヤ歩いていくと球場に到着。ユニフォームなどのグッズやビールなどを売っている。もちろんビールを買って球場入り。野球と芝生の匂いとビール。球場に響く乾いた打球音。たまらない。


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今回ENJOY KYOTOには割引チケットが付いています。京都サンガF.C.京都ハンナリーズは外国人限定(観光客でも在住者でもOK)なのですが、京都フローラさんは日本人でも大丈夫です。窓口で紙面のこの部分を見せると500円割引で見ることができます。もちろん僕も割引してもらいましたよっと。お世話になったHさんによると「けっこうENJOY KYOTOを持ってきたくれているお客さんいますよ」とのことで、ありがたいことです!


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今回、どうしても伏見桃山球場で見たかったのはこの景色があるから。どうですか。スタジアムと城。何ですかこのインパクト!このミスマッチがなんともたまらない。今は天守閣には入れないのですができればビール飲みながら天守閣から試合を眺めて、秀吉気分で天下取った気持ちになりたいものです。


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フローラサイドの客席。取材でわかさスタジアムに行った時に見かけた応援団の方も当然のようにいらしてました。まあちょっと地元の高校球児を応援するのと差して変わらない雰囲気というのはありますが、むしろそれが味。先に書いた「京スポ」の話を思い出していただければ、この地元感と身近さが良さだと感じてもらえるはず。むしろ男子のプロ野球が失ってしまったもの。野球の本場アメリカの地方のグラウンドへ少年野球の応援に出かける家族たちのような、野球という球技が持つ独特のノスタルジックな空気を感じることができるんです。


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試合は残念ながら京都フローラが1-2で埼玉アストライアに敗れてしまいました。相手ピッチャーの磯崎ゆかり選手の投球、特にスローカーブがすごく良かったです。あと「美くしすぎる女子野球選手」としてマスコミでもおなじみの加藤優選手もハツラツとプレーしていました。埼玉アストライアもいいチームだと思います。写真は試合後に行われていた埼玉アストライアの勝利のダンス。女子プロ野球はこういったファンサービスも選手自らが積極的に行っているところが好感持てます。


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帰りに京都フローラのキャラクター「フローラちゃん」の写真撮ってアピールがものすごかったんで半ば脅されながら撮りました。こ、こわい。あ、後ろにお世話になったHさんが写り込んでる(笑)。




で、そのまま帰っても良かったんですが天気もいいし、その日はめずらしく一人で身軽だったので「御陵さん」まで散歩してきました。


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「御陵さん」と僕らが読んでた明治天皇陵はその名の通り明治天皇と皇后の墓があります。また近くには都を京に移し平安京を造営した桓武天皇の陵墓(諸説あるらしいです)や明治天皇崩御に際して殉死した乃木希典を祀る乃木神社もあります。陸上部だった中学の頃はしょっちゅうここまで走りに来ては階段登りをして、上で休憩して帰るというのが定番の練習メニューでした。その時は景色ばかりに気を取られてて、すぐ後ろの陵墓のことはあまり気にしたことがありませんでした。でも今回あらためて足を運ぶとその広大な土地の大きさと陵墓らしい丘の傾斜、古代の方墳を思わせるお墓の風格などすごくいいところじゃないか!中学時代のワシはいったい何を見ていたんじゃあ!とひとり恥じたのでした。いやあ無知って恐ろしいもんですね。



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それでも中学時代の僕にとっては天皇陵という文化財の価値よりももっと大事なものがあったんです。ここへ来てはともだちと、よくはわからない将来のことやら、女の子のことやら、イヤな先生のことやら、そういうことを日が暮れるまで話し合っていました。ほぼ30年ぶりに再びそこへ訪ねてみて、懐かしさとともに恥ずかしさがこみ上げてきました。そして同時に、まあなんとかかんとかやってこれたなあということも、少しは実感できました。
むかしハイヤングKYOTOというKBSラジオの深夜番組で島田紳助さんが語ってた「大谷高校時代によく●●山(失念。東山か比叡山か)に登って仲間たちと夜景を見ていた。そこで、いつかこの街の景色が小さく見えるくらいビッグになってやる!とみんなで誓った。高校卒業して漫才師になり、漫才ブームで人気が出て東京でレギュラーが増えた頃、京都に帰ってきて同じようにその山に登った。景色が小さく見えるかなと期待して。そうしたら宇治と城陽が開発されて、街が大きく見えたんや」という鉄板ネタがあったのを思い出しました。


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そのまま緑の電車に乗って、宇治の実家に寄って「オカン飯」を久しぶりに食べる。ふと水屋に高校時代に使ってたマグカップが置かれているのに気づく。まだあんのかコレ。ったく30年近く前の代物ですぜ。物持ち良すぎ。というかいい加減捨てようよ。


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最近はまとめて本を読んだ。くるりは20周年、音博が10回目ということで、ベスト盤は出るわ阪急でのスタンプラリーはあるわ立命館大学でLINE LIVEはあるわで、ものすごーく盛り上がっています。とくに岸田さんの活動をtwitterとかでウォッチしていても「たまには休んでくださいよ」と思うくらい精力的にハードスケジュールをこなされている。広島カープまで優勝する。えらいことです。で、「くるりのこと」では岸田さんの子供の頃についてのっけから「自分の思いついたことしかやりたくなかった」とか書いてあって、まったく同類の自分としては、膝は叩くわウンウンうなずくわで、とにかく共感できる話が多かったです。ファンならずとも必読の本です。


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あとあずまんの本は「弱いつながり」が入門編としていい感じです。観光やってる人は絶対読んどくべきだと思いますね。「存在論的、郵便的」のほうは、こないだ京都造形芸術大学東浩紀さんと浅田彰先生の講演聞いて再読したくなったので読みました。「構造と力」とか、デリダじゃデカルトじゃハイデガーじゃとかぶれてたなあとか恥ずかしい歴史も思い出しつつ。あとなにげに東さん同い年なんですよ。
それから小松左京さんの本は「シン・ゴジラ」見てよかった人はオススメです。「日本沈没」はかつて読んでた時はよくできたSF小説としての印象だったけど、阪神淡路大震災東日本大震災熊本地震を経験し、その映像や解説をつぶさに見てきた後で読むと、ドキュメンタリーとしか読めなかったです。40年以上前にこれを予見していたあたりは素直にすごいなあと思います。小松さんは京都大学イタリア文学専攻というキャリアは不思議な感じもしますが「ダンテか!」と思い当たってなるほどと思いました。他にも「地には平和を」や「果しなき流れの果に」は傑作なのでぜひ。
小松さんといえばご子息が某代理店にいらっしゃって何度か一緒にお仕事もさせていただいた。「プロモーション仕掛けて上手に金儲けしまっせ」みたいなことには向いてらっしゃらない感じでしたが、お父様譲りかとにかく博学で理系・文系・専門知識・雑学問わず、あらゆる知識をお持ちの方だったのが印象的でした。


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とまあ、なんだかんだで忙しい夏でした。なんだか楽しそうじゃないかと思うかもだけど、逆に「これ以外仕事」だったんだぜ!というわけで、次回はENJOY KYOTOIssue18の中身について、ちょっと書いてみようと思います。では。