ゴジマエ~後日読み返してもらいたいささやかなまえがき~

1971年生まれ。京都府出身・在住。コピーライター・プランナー。約15年間、大阪の広告制作会社勤務ののち2012年7月からフリーランスに。キャッチコピー一発から広告全体のプランニング・進行管理、企業の販促企画(企画書作成)まで、会社案内や学校案内・フリーペーパーなどの取材からライティングまで、幅広くやってます。 お仕事の依頼などはfuwa1q71@gmail.comまで。 

10月30日はENJOY KYOTOを持って西京極スタジアムへサンガを応援しに行こう。

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ENJOY KYOTO Issue18はスポーツ特集号でした。といっても、この号の配布は9月1日から10月31日までとなっていて、そろそろ次号の配布が始まる頃なのですが、じゃあなんでいまごろになってこのエントリーを書くのかというと、じつは今回「外国人のお客様に限り」、ENJOY KYOTOIssue18を持って来れば京都サンガF.C.の試合を500円で観戦できる、という特別企画を試みているからなのです。
で、その試合がいよいよ明後日30日に迫っているので、もしたまたまこれを見た日本語がわかる在住外国人の方や、そのご友人、あるいはいま観光で京都に来ている外国人ツーリストを知っているよ、という人にぜひとも読んでもらえたらなと思って、それでまあ書きました。1冊で4人まで500円になります。
ものは試しにと、こないだ近所にあるゲストハウスに飛び込みで3軒くらい回ってみたらかなりウェルカムで好印象でした。しかもそのうちの一軒のオーナーからは「じつは先日ニュージーランドのお客様からラグビーを観れる場所はないかと聞かれました。そういうニーズってあるんですね」という話を聞き、ああやっぱり自分は間違ってなかったなと感じたんです。
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サンガの広報の方にこないだお会いした時にも、じつはすでに日にちを間違えてENJOY KYOTOを持って来場されている外国からのお客さんがちらほらいらっしゃるという話をお聞きしました。ちょっと入稿前に色々ありまして、結果的に「割引対象試合」の表記が小さくなってしまって混乱をきたしたことは反省点ですが、それでもサンガの方もせっかくだからと割引で入場していただく対応をしていただいているようで、とにかくちゃんとリアクションがあったことがとても嬉しいです。前にも書きましたが、物書きとして一番嬉しいのは、何かの賞を取るとか何千リツイートとかされてバズることなんかよりも、記事を見た人が実際にその場所へ行ったり、商品を買ったり、具体的なアクションにつながったことだからです。


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というわけで、30日の試合はぜひ外国人ツーリストはもちろん京都在住の外国人の方々も含めた、多国籍な応援を西京極スタジアムで繰り広げて、京都サンガF.C.の勝利を後押ししてほしいし、そういう風景が当日見られるといいなあと思うのです。たぶんそんな取り組みをしてるクラブはまだないと思うんです。そして紙面にはチャントもいくつか載っけています。じつは取材中にスタジアムで外国人観光客のグループが、見よう見まねでサポーターたちと一緒にチャントをしたり手を振り上げたりして、まるでライブを楽しむみたいに一緒に応援するの光景をたまたま見かけて、ああチャント一例とかあったらいいよなと思ったんです。30日はスタジアムのあちらこちらでこうなるといいなあ、という思いを込めて。


そもそも今回スポーツと観光をテーマに特集をしたのは、スポーツと観光の組み合わせというのはこれまであまりなかったと気づいたから。もともとスポーツ・ツーリズムなる考え方はあったのですが、それより先にまずそもそも京都には知的好奇心を刺激する観光地や文化体験をする場所はたくさんあっても、子どもや家族連れが「わーっ」と我を忘れて遊べる観光スポットが少ないので、ならばスポーツ観戦はいいんじゃないかと考えたのがキッカケでした。
それとかつて自分がローマに旅行に行った時にサッカーのラツィオ戦をスタディオ・オリンピコで観て、それまであまり興味のなかったラツィオの戦績が帰国後も気になるようになった、という個人的体験もありました。

今回取材をしていろんな人に話を聞いてみて、スポーツと観光の相性の良さをすごく感じました。サッカーでも、メジャーリーグでも、その街の個性がスタジアムの設計や選手の育成方法、チームカラーなんかに出ますよね?日本でも地域ごとに背景が異なり、子どもたちの育成から地域交流、スポーツ文化にいたるまで、スポーツは地域の特色が強く出るものなんだなあとあらためて感じました。それにスタジアムではその街に住んでいる人の「素」の姿も見れますしね。


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京都サンガF.C.の取材では城陽市のサンガタウンにお邪魔して、練習後にエスクデロ選手と高橋祐治選手に話を伺いました。スペイン生まれで日本育ち、アルゼンチンでの生活も経験して、いまは日本国籍を取得したエスクデロ選手は「アルゼンチンでは生まれた瞬間に自分の応援するクラブチームが決まるんだ。それが2部リーグだろうが5部リーグだろうが関係ない。一生そのクラブをサポートする。そして大人になって自己紹介の時には必ず自分の名前と、応援するクラブの名前をまず明かすんだ」とか言うんです。ああ、それすごくいいなあ!と思うんですよね。こういうエピソードってなかなか聞けないし、そういう地元サポーターの強い思いがクラブを育てるんだなあともあらためて感じました。そしていまみたいな時こそ、彼のようなタフな選手が日本代表にいてほしいなあと思うんです。
このときのインタビューの様子をサンガのYouTubeチャンネルで一部公開していただいてます。ウンウン相槌打ってるのが僕ですね(笑)。
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いっぽうの髙橋祐治選手からは地元出身でジュニアからの生え抜き選手ならではのサンガ愛を感じました。彼が子供の頃に憧れていたサンガは天皇杯で優勝していた強豪チームだったので、こんな位置にいるチームではないし、必ずこのチームでJ1に昇格したいと決意を語ってくれました。重い怪我から復帰したばかりの髙橋選手の活躍が昇格争いの鍵を握っていると思います。
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そして広報の方から「Purple with purpose」というフレーズをすごく気に入ってもらいました。「紫(=サンガである理由)というぼくが書いたキャッチコピーを翻訳チームが英語のフレーズにしてくれたのでした。チームの出発点であるパープルサンガとしての原点をあらためて見つめ直すきっかけになったと言っていただきました。



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京都ハンナリーズの取材ではちょうどシーズンオフであったため選手の取材がギリギリまでできなかったこと、また9月から新たに「Bリーグ」として開幕することで準備に大忙しだったこともあり、じっくりと取材する時間はあまりありませんでした。しかしそんな中でもアメリカ出身で長身のケヴィン・コッツァー選手にお話を伺うことができました(本当に大きかった!)。
またこんな取り組みを教えてくれました。外国人選手と日本人選手を混成した3人ずつのチームに別れて京都市内の観光名所に出かけて行き、互いに英語や日本語で会話をしながら食事をしたり写真を撮ったり散歩する時間を作るのだそうです。これには試合や練習だけでなく普段からのコミュニケーションを密にする狙いがあるそうで、その成果か取材時には皆さん本当に仲がよさそうでとてもいい雰囲気でした。


また広報の方が「熱狂的なブースターはアウェイでもツアーを組んで全試合応援しにいく人もいます。もちろん応援がメインだけど、その土地その土地の名物を食べたり地酒を飲んだり、観光も兼ねて転戦するんですよ」と教えてくれました。こういう話からもやっぱり、スポーツと観光って結びつきやすいんだなと思いましたね。



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京都フローラは世界で唯一の女子プロ野球リーグとしての誇りを持っていらっしゃいました。しかもチームだけでなく、女子プロ野球リーグ機構が四条烏丸にあるんです。これ、けっこう知られてないんじゃないかな。
ぼくはわかさスタジアムにも、それから個人的にオススメな伏見桃山球場にも応援に行ったのですが、映画「プリティリーグ」の切なくも懸命に戦う女子選手の姿と重なって見えました。記事にはこう書いたんです。

ここにはマドンナもジーナ・デイビストム・ハンクスもいない。ベーブ・ルースハンク・アーロンケン・グリフィ-Jrもイチローもだ。しかし、スタジアムで白球を追いかける彼女たちの姿は、ハリウッド映画の名だたるスターにも、あるいは男子の英雄的名選手たちにも決して見劣りすることのない情熱と勇気と美しさがある。そしてもうひとつ。そこではベースボールスタジアムでしか味わえない懐かしくも優しい気持ちに出会えるだろう。ホットドッグとビール。青々とした芝生と黒い土のコントラスト。秋の気配を漂わせ始めた風の香り。そして球場に響き渡るボールを叩くバットの音。野球ファンでなくても、秋のスタジアムにはなにか特別な郷愁を感じさせるものがある。だから、完成されたスポーツエンターテインメントを楽しむというよりは、地域のクラブチームがより高いステージに向かって試合に励むのを、近所の人たちみんなで応援するような感覚が近いのかもしれない。京都フローラは、ぜひともそんな気持ちで応援してほしいチームなのだ

ちょっと気持ちが入りすぎてるキライはあるけど、とにかくぼくにはそう感じたし、紹介した3つの中で世界的に見ればじつは野球がもっともローカルなスポーツなので、プレイそのものや技術論なんかよりも、とにかくスタジアムに行ってみたいと思ってもらうのが先決だなと感じたのでした。



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それから上田滋夢さんには社会学者としてみたスポーツ・ツーリズムの話を伺いました。たとえばとくに印象に残ったのは、スポーツツーリズムなんていう話をする前に、そもそも少年少女のスポーツ合宿地として考えた場合に、午前中で練習が終わった後、午後から社会見学として市内の寺社仏閣や史跡を巡ることができるので、教育的な面から見ても「京都とスポーツと観光」はとっても相性がいいんだ、っていう話でした。これはなるほどと思いましたね。ぼくは高校時代ラグビー部の合宿で菅平とかに行きましたけど、練習する以外に何にもない環境でしたから。これは目から鱗な視点でした。



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最後にKBS京都とメディアコラボした取材ではアナウンサーの海平和さんとテレビ制作局長の南哲夫さんにインタビュー。ぼくは京スポの視聴者でもあったのでスタジオで海平さんにお会いしたときはちょっと感動でした。
その海平さんは京都マラソンを取り上げ「街を走ってみてこれまでになかった視点を得られた」といい、「マラソンを走ることで街のストーリーを感じることができた」と語っていただきました。あと学生スポーツや地域スポーツの身近な話題を取り上げ、地元のスポーツ選手をいち早く紹介することで、その後で選手がオリンピックやプロの世界で活躍するスター選手になったときに、地元で見てくれていた方々が「ああ、あんときのあの子がこんなに偉くなって」と、おらが街の代表として応援し続けられることを地域メディアのひとつの役割としてあげておられました。


ともあれ、今回のスポーツ特集号はとにかく自分にとっても学びの多い、印象深い一冊になりました。そして「Join Our Home Team」という表紙のキャッチコピーに込めた思い。それは、世界中に京都のスポーツチームのファンができると嬉しいし、スポーツ観戦や同じチームを応援することを通じて、世界中の人たちと「チームKYOTO」になれたら、ということでした。30日の西京極スタジアムのスタンドに、いろんな国籍の人が集まってくれてるといいんだけどなあ。