ゴジマエ~後日読み返してもらいたいささやかなまえがき~

1971年生まれ。京都府出身・在住。コピーライター・プランナー。約15年間、大阪の広告制作会社勤務ののち2012年7月からフリーランスに。キャッチコピー一発から広告全体のプランニング・進行管理、企業の販促企画(企画書作成)まで、会社案内や学校案内・フリーペーパーなどの取材からライティングまで、幅広くやってます。 お仕事の依頼などはfuwa1q71@gmail.comまで。 

2013年をサクッと振り返って。

さて、大晦日になりました。今年はすこしお手伝いさせていただいた「CLASS ROOM 小豆島REPORT|地域×デザインを考える「CLASS ROOM」」で春と夏に小豆島に伺って地域に根付いた産業を丁寧に作っている人たちに出会い、またそれを広めていく活動をしている方ともお話させていただく機会がありました。
それから夏以降では、今度は自分の活動として京都を外国人観光客に紹介する「ENJOY KYOTO」をつくる活動が始まりました。
このふたつの活動はじつはつながっていて、いずれも共通して日本が抱えている少子化による経済縮小がもたらす文化の衰退というものにどう向き合うのかということが問われるものでした。もちろんそれに対する答えがあって動いているわけではありません。もともとそういうことにうっすらと関心はあったものの、自分になにかができると思って積極的に立ち上げた取り組みというわけではありませんでした。
それでも。気づけばそういう時代の動きのなかに自分がいて、自分が問われて、それで「じゃあやってみるか」と動いてみた。それは西から風が吹けば枝は東へと振れるみたいな、とても自然な反応でした。なーんとなくいい風が吹いてきたので方向が決まった。じゃあってんで歩みだしてみたらいろんな人とつながって「じゃあオマエも一緒に歩くか」となったりして、気が付けば大きな流れになっていた。ほんとにそんな感じでした。

先日も、フリーペーパー「ENJOY KYOTO」でお世話になっている書家の川尾朋子さんのお誘いで伺った忘年会で、能面や提灯や和装や三味線などを作っていらっしゃる職人さんはじめ、京都の伝統文化に関わるさまざまな分野で活動している20代や30代の若い人たちにたくさん出会うことができました。おひとりおひとりお話を伺っていると、ひとりにひとつ、それぞれに物語があって、これがもういちいちおもしろいんですよ。来年の号でひとりずつ特集で順番に取り上げていけるくらいに。しかもおもしろいだけでなくて、自分が歩みはじめたときに考えてきたことと非常に重なる部分が多くて、ああここにも「風」を感じている人たちがいるんだなあと実感する夜になりました。また以前、ある学校の学校案内の取材でお話させていただいたアーティストの串野真也さんにも再会できるなど、いろんなご縁がつながる機会となり、ほんとうに来年が楽しみになりました。

いつも思うのですが、ぼくはコピーライターという職業もいわば職人でありものづくりの端くれとしての矜持をもって仕事しなければと心がけています。しかし反面、この会でお会いした方々のように、あるいは農家の方や小豆島でお会いした人たちのように、リアルにものをつくってそれを自分で売って生計を立てる、という人たちにくらべると、薄っぺらいというか後ろめたいというか。そういうコンプレックスのようなものが付きまとうようなところはありました。申し訳ないというような、このへんは伝えるのが難しいんですけど。
夏にお会いした地元カンパニーの児玉光史さんが仰ってた「企画とかデザインとかプレゼンとかっていうんだけど、農家の人らからしたら「で、お前らどこでリスクを取るの?」ということになるんですよね」という言葉がいまも忘れられないんですけど、リアルに野菜作って台風とか冷害とかあればぜんぶパアになる。そんなリスクはライターやデザイナーにはないですよね。そこはこう胸にズシっときましたね。

でも、だからこそ。自分に何ができるかを謙虚に考え続けてきたんですね。ぼくにはいわゆる「田舎」がないので、起こすべき地方もない。じゃあ、どうするのか?やはり京都に戻ってくるんですね。いわば地方が日本全体を視野に産業の再興に向けた新しい取り組みをするのに対し、京都は海外に向けて地域産業をアピールできる。そのポテンシャルがあるのは京都だけだし、自分ができるふるさとへの貢献、生まれ育ててくれた街にできることってなんだろうと考えたときに「ENJOY KYOTO」はピッタリの媒体だったんですね。
自分が考え続けてきたことを、自分が培ってきた技術を使って、自分自身で発信していくメディアを持てた。これが今年の最大の進歩だと思います。でもそれは「変化」とか「チャレンジ」とかではなく、何度も言うように考え続けてきたこと、それも10代とかからぼんやりと考え続けてきたことや自分なりに取り組んできたことが、スーッとつながったということであって、今年になって急に始めたことという意識は自分にはあまりないんですね。やっぱりなんだって、一歩一歩なんですよ。近道なんてないし、近道を探していろんなことをスキップしてできた成功論やノウハウで出来たものは、やっぱり弱いんです。それは職人さんの仕事を見ているとわかるし、あらためて自分の取り組みのなかでも実感できた2013年でした。ああ、遠回りし続けてきてよかった!

皆さんはどんな大晦日ですか?ぼくは昨夜ようやく仕事が納まって、今日は午後からそそくさと京都を離れます。年の瀬らしさは年々失われてはいるものの、年の終わりというのは節目なのでやはりいろいろと思うところはありますし、それでこんなブログも書き残すことにしました。とはいえ、今朝も6時には起きて(ふだんは4時に起きているのですこしお寝坊なほう)ふだんどおり佐藤弘樹さんのαモーニングキョウトを聴きながら、トーストとエスプレッソとヨーグルトとアップルジュースの朝食です。
大晦日といえど今日もふだんどおり、あたりまえを、あたりまえに。あらためて、これに尽きるなあと思います。来年は早々に2号が配布されます。川尾朋子さんが表紙&巻頭特集です。渾身の原稿を書いてます。そして年明けすぐの8日にはNHK京都でENJOY KYOTOが紹介されます(くわしくは→ゴジマエ~後日読み返してもらいたいささやかなまえがき~)。こんなに来年が楽しみな年末は、ほんとうにほんとうに久しぶりです。では皆さんも、よいお年を!